Review No.009 for CD
A.Arensky
(1861-1906)
R.Korsakov
(1844-1908)
S.I.Taneyev(
1856-1915)
The Russian Symphonies
USSR State Academy Symphony Orchestra - Evgeny Svetlanov
A.アレンスキー: 交響曲第1番ロ短調作品4
(1983年録音)
A.アレンスキー: 交響曲第2番イ長調作品22
(1983年録音)
リムスキー・コルサコフ: 交響曲第1番ホ短調作品1
(1983年録音)
S.I.タネーエフ: 交響曲第4番ハ短調作品12
(1988年録音)
エフゲニー・スヴェトラーノフ指揮 ソビエト国立交響楽団
(現:ロシア国立交響楽団)
[Venezia CDVE44003(Melodia原盤)]
<ロシア作曲家の知られざる交響曲を聴く>
スヴェトラーノフとソビエト国立交響楽団によるロシア交響曲集を、昨年4月発売後すぐに購入したものの、早や9ヵ月も経ってしまいました。今回改めて全て聴いてみたのですが、あまり知られていないロシアの交響曲の良さを実感しました。この中でよく知られているのはボロディンの交響曲第2番くらいかなと思います。ロシア物はよく聴くのですが、このセットの中でボロディンの第2交響曲とスヴェトラーノフが作曲した「ヴァイオリンとオーケストラのための詩曲」以外は、ほとんど聴いたことがない曲ばかり。それもすべてメロディアレーベルに膨大な数のロシア音楽の録音を体系的に残した今は亡きスヴェトラーノフ指揮によるもので、4枚組・約2,600円はお値打ち!のセットでした。今回はこの中からアレンスキー、R.コルサコフ、そしてタネーエフの交響曲を取り上げてみました。(その他にはグラズーノフ交響曲第6番、バラキレフ交響曲第2番が入ってます。)
<楽しみにしていたアレンスキーの交響曲第1番と第2番>
一番聴きたかったのが、アレンスキーの1番と2番の交響曲です。アレンスキーはギャンブルと酒に溺れた生活の末、フィンランドのサナトリウムで亡くなった不遇な作曲家ですが、メロディーラインの美しさが特徴で、ピアノ三重奏曲は傑出した魅力的な曲です。果たして彼の交響曲は如何なるものかと楽しみにしていました。その第1番は1883年に作曲され、第1楽章では冒頭から終わりまで低弦とブラスの力強い響きと弦楽器による親しみ深いメロディーが交互に繰り返し(ロシア音楽の伝統!)何度も出てきます。第2楽章は少し憂いを含んだメロディーラインをチェロとバイオリン群が交互に受け継ぎながら奏され、絶品。第3楽章のスケルツォでは異国風のけだるいトリオが印象的です。第4楽章は楽しいロシア民謡風の旋律を変奏させながらタンバリンが出てきたりと・・ボロディンの交響曲第2番の第4楽章に感じが似てるなと思います。チャイコフスキーの第5交響曲が作られた次の年の1889年、アレンスキーの交響曲第2番は完成し、第1番と似た感じで、約22分と短い交響曲です。特徴は第2楽章でチェロ協奏曲かと思えるほどチェロが活躍するところでしょうか。また第3楽章のインテルメッツォは、可愛らしく楽しげな曲想が弦と木管、トライアングルで奏されます。交響曲という厳めしい雰囲気は感じられません。
<心に染み入るR.コルサコフの交響曲第1番の第2楽章>
R.コルサコフの交響曲第1番は既に持っている1〜3番と交響組曲「シェヘラザード」の入ったBMG盤と同一なのですが、ほとんど聴いていない状況でした。「シェヘラザード」のイメージから期待して聴いたのですが、オリエンタルな雰囲気はまったくありません。最初は全くインパクトが感じられず、むしろ交響曲第2番「アンタール」を入れてもらった方がずっといいと最初は思ったぐらいです。この曲は1865年に、R.コルサコフが20歳の時に初演されたもので、ロシア交響曲の始まりとも言える曲です。その約20年後に改訂されていて、若書きの原典版がどんな風だったかわかりませんが、この改訂版は「シェヘラザード」でだけで捉らえていたイメージを覆すアカデミックなものでした。ロシア民謡のメロディーを引用した第2楽章が叙情的で聴くにつれ心に染みこんできます。しかし第3〜4楽章はパンチ力に欠け、この曲全体の一体感が感じられないのが残念ではあります。
<最大の掘り出し物、タネーエフの交響曲第4番の魅力>
このセットでいちばんの掘り出し物はタネーエフの交響曲第4番でしょう。カリンニコフの交響曲第2番と同じ1896〜7年に作曲され、チャイコフスキーが交響曲第6番「悲愴」を作曲した3〜4年後のことになります。第1楽章の力強い金管(ショスタコーヴィッチの交響曲第7番第1楽章の出だしの音階が何となく似てる?)と弦による親しみやすいメロディーで始まり、この後の楽章に繋がっていきます。これまでのロシアの交響曲と同様、第2楽章が叙情溢れる美しい音楽で夢心地にさせてくれます。(何度聴いてもこのメロディーラインはジョン・ウイリアムズの「スター・ウォーズ」で流れる音楽にパクられていると思うのですが‥)この曲の弦楽器の美しい響きは師匠のチャイコフスキーを想い起こさせます。タネーエフは母校のモスクワ音楽院で教鞭を取り、門下にスクリャービン、ラフマニノフ、プロコフィエフといった名だたる作曲家を輩出しています。第4楽章では第1楽章や第2楽章のメロディーが柔らかく美しい弦と輝かしい金管で色どられ、コーダはロシア的に舞い上がって終わります。スヴェトラーノフとソビエト国立響はどの曲も見事な演奏を繰り広げていますが、このタネーエフが金管の響き、精妙な弦といい、このセットの中ではいちばん録音が良いこともあって、この曲の素晴らしさをさらに引き立てています。こうやってロシアのどちらかと言えばマイナーな交響曲を聴き、ここに登場しなかったボロディン、チャイコフスキー、カリンニコフ、ラフマニノフの交響曲も含めて眺めてみると、19世紀後半から20世紀初めに出て来たロシアの作曲家が創作した交響曲の緩叙楽章は甘美で叙情的で魅力に溢れていますね。(2006.01.17 UP)
エフゲニー・スヴェトラーノフのページ
エフゲニー・スヴェトラーノフ公式サイト
ロシア国立交響楽団
Copyright(C): 2005-2007 Mr.Art & SINFONAIR All rights reserved Since 2005.11.19
Background-image of this page: appears courtesy of
The Heart of Eternity