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Review
No.013 for CD
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Vasily
Sergeyevich Kalinnikov: Symphonie Nr.2 A-dur |
| USSR
State Academy Symphony Orchestra - Evgeny Svetlanov |
| 1968
Moscow Rec. by Melodia BMG CLASSIC 74321
49610-2 |
ワシリー・カリンニコフ:交響曲第2番イ長調(約38分)
エフゲニー・スヴェトラーノフ指揮 ソビエト国立交響楽団
[BMG CLASSIC 74321 49610 2(Melodia原盤)1968年録音]
※交響曲第1番とのカップリングCD⇒[Venezia CDVE04242(Melodia原盤)]
<カリンニコフの姉妹、あなたはどちらが好み?>
このように聞かれたらどう答えますか?姉の方はCDが出て、久しぶりにナマも今年2月、サントリーホールやオーチャードホールで聴け、多くのカリンニコフファンの喝采を浴びました(その様子はレビューNO.10)。ところが姉の後に生まれた妹の方はというと、姉と一緒のCDに収まるようにはなったものの、姉の陰に隠れて、その魅力が一般の人にそれほど知られていません。しかしその魅力は姉に勝るとも劣らないものです。ここでは姉は交響曲第1番、妹は交響曲第2番を指しています。今回はこの妹(交響曲第2番)についてご紹介します。
<カリンニコフ姉妹との出会い>
カリンニコフ姉妹を初めて知ったのは1996年発刊の「クラシック・ディスク・コレクション301 隠れた名盤301大発掘」(音楽之友社)というムック本においてでした。2人の音楽評論家がそれぞれ姉と妹を隠れた名曲・名盤として紹介する文章を書いていました。早速、そこで取り上げられた推薦盤で、姉妹2曲が一緒に入ったクッチャル指揮ウクライナ国立交響楽団(NAXOS)を購入し、何度も聴いたものです。姉と妹を続けて聴くと、姉は親しみやすいメロディーと終楽章のスケールの大きな盛り上がりの点で勝っているのですが、妹の方は第2楽章のメロディーラインの美しさと曲の構成力において姉を凌駕していると思います。
<カリンニコフの生涯>
カリンニコフはモスクワの南100マイルのところにある Oryol に1866年1月に生まれます(シベリウスが1865年9月生まれ、グラズーノフが1865年7月生まれですから、僅か数ヵ月違い)。彼の父は警察官でしたが、家庭は貧窮に喘いでいました。14歳の時、教会の聖歌隊に加わり、18歳でモスクワ音楽院に入学するものの、お金が払えずに退学。志願者が少なく奨学金が与えられたモスクワの音楽学校のファゴット科に入学し、写譜やオーケストラのエキストラで生計をたてていました。1890年に結婚するのですが、この頃、結核を患います。チャイコフスキーの推薦により劇場の指揮者になったのですが、健康が悪化して職を辞し、結核治療のためクリミア地方ヤルタで療養します。そこで姉妹の交響曲や付随音楽が生まれました。姉の方は作曲してから2年後の1897年にキエフで初演にこぎつけ、大喝采を浴びます。この成功により、この年、自信を持って妹を完成させたのですが、カリンニコフは姉妹の演奏会を聴くことなく、1901年に亡くなります。35歳の誕生日の2日前でした。
<妹のベスト盤は‥>
美しい民族的な旋律や主題の展開の仕方、循環形式による点など姉とは共通点が多く、姉の演奏に優れた演奏家のCDが妹の魅力も引き出しているように思います。クッチャル盤は姉と同様、バランスがとれ、過不足のないオーソドックスな演奏で、初めてこの曲の良さを教えてくれました。ムラビンスキーは妹を5回もプログラムに載せ演奏したようです。そのうち1953年のライブ録音盤(Russian Disc)が残っています。姉ではなく妹を取り上げたその粋眼には感服します。ただ古い録音なのがネックと言えます。姉妹ともに録音したネーメ・ヤルヴィ盤(Chandos)は唯一ロシア以外のオーケストラ(スコッティッシュ・ナショナル管弦楽団)による録音なのですが、硬軟自在の表現で、特に第2楽章の素晴らしさが忘れられません。コーダの盛り上がりには力が入っています。演奏と録音トータルではこの盤がベストかもしれません。しかし私にとって極めつきの演奏は何といってもスヴェトラーノフ盤です。これほど共感を持って心を揺り動かす演奏は他にありません。最近やっと姉妹が一緒になったスヴェトラーノフのCDが出ましたが、これを契機にして妹への理解が更に深まることを願っています。

<主題が織り交ざりながら紡ぎだす‥>
第1楽章は厳かに厚い弦のハーモニーで始まり、すぐに軽やかな舞踊曲風の第1主題が現れます。ビオラとチェロが奏でる第2主題が現れ、第1主題と織り交ざり、表情を変えながら進みます。展開部は対位法による処理が施され、金管が除々に加わって、コーダは晴れやかに終わります。速めのテンポによる厚みのある弦の響きと金管のパワーはスヴェトラーノフ盤の真骨頂です。
<憧れと懐かしさに溢れ‥>
第2楽章は第1楽章の導入部の旋律が趣を変え、コールアングレによってしみじみと歌われます。クラリネットに導かれて、ヴァイオリンが流れるように叙情的で美しいメロディーを奏でますが、この憂いのある調べは私がこれまで聴いてきた中で最も美しいもののひとつに挙げられます。金管、低弦に受け継がれた後、ハープを伴ったバイオリンによる音階には体中がゾクゾクさせられます。そして同じメロディーが淋しげにオーボエ、クラリネット、弦楽器で名残惜しそうに鳴り響いた後、最後はコールアングレとハープの調べで静かに終わります。まさに絶品と言えるこの楽章には、ついつい目頭が熱くなってしまいます。
<威勢がいいスケルツォに異国の雰囲気も‥>
第3楽章のスケルツォではクラリネットとフルートが速いパッセージを吹きます。この部分では、スヴェトラーノフ盤での威勢のいい吹きっぷりにいつもニャッとさせられます。トリオではオーボエ、フルート、クラリネットが奏でる異国風の軽やかな調べに心が安らぎます。木管に弦楽器が加わり、ここはチャイコフスキーの大序曲「1812年」の中間部分になんとなく雰囲気が似ているところです。スケルツォに戻り、各楽器が掛け合いながら進み、コーダは金管が鳴り響いて活気に満ちています。
<メランコリーと疾風怒涛の勢いで高揚する‥>
第4楽章はホルンの独奏とコールアングレによるメランコリーな導入の後、疾風怒涛の勢いで第1主題が金管、弦楽器で快活に現れ、第2主題は弦楽器によってカノン風に響いて、その多彩な表現には舌を巻きます。やがて回想部分になり、各楽章のメロディーとこの楽章の第1主題が掛け合いながら進んで行きます。このうち第2楽章のメロディーがヴァイオリン、クラリネットとホルンによって出て来るところでは、胸が高鳴ります。第3楽章の異国風のメロディーが少しだけ顔を出した後、コーダに向かって突き進んで行きます。第1楽章の序奏部の主題をトロンボーンとトランペットが高らかに奏でるのですが、その背後で目まぐるしく奏される弦楽器(特にスヴェトラーノフ盤)には心がワクワク…。最後は金管が熱く盛り上がり、曲は力強く大円団で幕を閉じます。
<夢のまた夢、オール・カリンニコフプログラム>
この妹の実演を聴くことが私の夢ですが、次のオール・カリンニコフプログラムがこの夢の先にある夢です。♪序曲「皇帝ボリス」、交響曲第1番ト短調、(休憩後)交響曲第2番イ長調、アンコールは交響詩「杉とシュロ」♪ (2006.04.30
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