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Review
No.014 for Concert
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2006.04.11 19:00 Aichi
Arts Center Concert Hall, Nagoya |
Toyota
Master Players, Wien & Nagoya Philharmonic Orchestra
Joint Concert - Norichika
Iimori |
| Maki
Mori (S) Akiya Fukushima (Br) Hans Peter Schuh (P-Hr) |
| 出演: |
トヨタ・マスタープレイヤーズ・ウィーン&名古屋フィルハーモニー交響楽団
合同演奏会 |
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森 麻季(ソプラノ)† 福島 明也(バリトン)‡ ハンス・ペーターシュー(ポストホルン)# 飯森範親(指揮) |
| 演奏会場: |
愛知県芸術劇場コンサートホール |
| プログラム前半: |
「トヨタ・マスター・プレイヤーズ・ウィーン」のための前奏曲『イントラーダ』 モーツァルト作曲 歌劇「フィガロの結婚」Kv.492より序曲 歌劇「フィガロの結婚」Kv.492より“小二重唱”†‡ 歌劇「フィガロの結婚」Kv.492より“恋人よ早くここへ”† 歌劇「魔笛」Kv.620より“私は鳥刺し”‡ 歌劇「ドン・ジョバンニ」Kv.527より“お手をどうぞ”†‡ セレナード第9番ニ長調「ポストホルン」Kv.320# (前半は
トヨタ・マスタープレイヤーズ・ウィーン 指揮者無しでの単独演奏) |
| プログラム後半: |
R.シュトラウス作曲 アルプス交響曲 op.64 (合同演奏) |
| アンコール曲: |
Joh.シュトラウス作曲 ポルカ「雷鳴と電光」 (合同演奏) |
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<マスタープレイヤーズって何?>
トヨタ・マスター・プレイヤーズ,ウィーン(以下、長い名称なのでマスタープレーヤーズと略します)はウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ウィーン国立歌劇場管弦楽団、ウィーン交響楽団などのメンバー30名で特別に編成された室内オーケストラです。今回は飯森範親の指揮によるアルプス交響曲がプログラムにあることから期待して聴きに行きました。
<モーツァルトイヤーを記念した前半のプログラム>
『イントラーダ』はこのアンサンブルのテーマ音楽、イントロのようなもの。短い曲ながらマスタープレイヤーズのどの楽器も加わるように作られ、またモーツァルトの音楽からの馴染みのメロディーが取り入れられており、さあ始まり!という気にさせてくれました。生誕250年を記念し、前半はモーツァルトの曲が演奏されました。指揮者無しで演奏された颯爽と流れるような歌劇「フィガロの結婚」序曲に続いて、モーツァルトの歌劇からアリアと二重唱が4曲。美貌ソプラノの森麻季がいかに歌うかに関心がありました。昨年3月にチョンミョンフン指揮の東京フィルによるマーラー交響曲第4番の独唱者として登場し、清らかな歌声を披露し、爽やかな印象を残したソプラノ歌手です。しかし今回、バリトン福島明也との「フィガロの結婚」小二重唱では2人ともあまり声が通らず、マスタープレイヤーズの素晴らしい伴奏に掻き消された感じでした。2曲目のアリアからは、その透明感のある声が響き始めました。歌声よりも赤いドレスを着た彼女のヘアーバンドの飾りがライトに照らされ、チカチカ輝いていたことの方が印象に残ってます。
<出番前からポストホルン奏者が主役?>
ポストホルンセレナードは、モーツァルトのザルツブルク時代最後の作品で全7楽章からなっています。楽器編成はフルート、オーボエ、ファゴット、ホルン、トランペットが各2本、弦5部にティンパニというものです。第1楽章は荘重な序奏に始まり、活き活きとした躍動感に溢れ、第2楽章は骨太なメヌエットです。第3楽章と第4楽章は協奏曲風で、木管が独奏楽器的に活躍し、オーボエとフルートの掛け合いが聴き所ですが、マスタープレイヤーズの柔らかくエレガントな音色は魅力的でした。第5楽章は一転して暗く内面的な情感を漂わせていて、このセレナーデに陰影をつけています。ここはポストホルンが登場する前の楽章なのですが、その独奏者の緊張した振る舞いに目がくぎづけになりました。この楽章では出番がないのに、唾を管から出すため何度も楽器を振ることを繰り返していました。第6楽章は郵便馬車の御者が発着を知らせるために使ったバルブのない金管楽器であるポストホルンが活躍する楽章です。この楽器の担当はトランペット奏者だそうで、この前の楽章でそわそわと落ち着かない行動をしていたのはウィーンフィルの首席トランペット奏者ハンス・ペーター・シュー。そしてその出番ではポストホルンを片手で持ち朗々と吹いていました。第7楽章フィナーレは快活で華やかなクライマックスを築きますが、ティンパニが芯のある音で引き締めていました。指揮者なしにもかかわらず、マスタープレイヤーズは繊細かつ優雅にこのセレナーデを魅力的に聴かせてくれました。
<楽章ごとの拍手に閉口>
このセレナードの演奏で一部の聴衆が楽章の合間の度に拍手するのには閉口しました。そう批判する小生も久しぶりに聴いたこともあり、途中で現在、何楽章目かわからなくなって、ついつられて第6楽章が終わった時、手をたたきそうになりました。まあ終わって拍手がなかなか湧かないよりは、楽章ごとに拍手しておけば間違いないという確実性?を重んじる地域の聴衆の特性が垣間見えた次第です。マスタープレイヤーズのメンバーは呆れ返っていたことでしょう。裏を返せばこのセレナードがめったに演奏されないということでもあります。
<交響曲と協奏交響曲を複合した画期的なセレナード>
モーツァルトの記念すべき今年は、彼のオペラ、交響曲、協奏曲、独奏曲などがいろいろな場所で演奏されています。ところが、セレナードやディヴェルティメントは「機会音楽」として軽くみられ、演奏機会が少ないのが現状です。ハフナー交響曲については、現存していない2つ目のハフナーセレナーデを改作したもので、交響曲として残った故に現在でもよく演奏されています。仮にポストホルンセレナードの第1、2、5、6楽章だけピックアップして交響曲の形式にしたら、その魅力は、彼の後期の交響曲に匹敵するものになったのではないかと思います。しかし、木管楽器のチャーミングな第3、4楽章は優雅さの極みに達していて、カットするには忍びません。そしてポストホルンが活躍する第6楽章はトレードマークみたいなもので、これまた外すわけにはいきません。このポストホルンセレナードは交響曲と協奏交響曲が複合した画期的な曲であり、もっと頻繁に演奏されてもいいのではないでしょうか。

<壮観な眺めの4管編成オーケストラ>
R.シュトラウスの「アルプス交響曲」をナマで聴くのは、1991年10月、東京芸術劇場で朝比奈隆がオール・ジャパン・シンフォニー・オーケストラを指揮した演奏以来、2度目のことでした。4管編成の弦5部でステージ上は楽員たちで隙間もない位です。向かって中央右にオーボエ、イングリッシュホルン、左にフルートが並び、上の段にクラリネット、ファゴットが並んでいます。その上の段にはトランペット、トロンボーン各4本が並び、その右側にテューバが2本、ホルンは2段に分かれて計10本、最上段にはティンパニ2台に大太鼓、グロッケンシュピーゲル、ウインドウマシン(突起のある円筒を回し、布との摩擦により音を奏でるようです)、サンダーマシン(トタン板が吊りさげられ、手で揺らすだけ)と、いろんな楽器が所狭しと並び、壮観な眺めでした。それにハープやチェレスタがあり、パイプオルガンも加わります。
<艶やかな音色はウィーン・フィルに似て‥>
曲は22の情景のなかを進行し、続けて演奏されます。序奏の部分で弱音器をつけた弦の下降する音形で始まる「夜」は音程の点で今ひとつ冴えなかったのですが、太陽が昇る様子を金管が輝かしく歌いあげる「日の出」やチェロが力強く主題を奏する第1部の「登り道」あたりからオーケストラのすばらしい音が溢れんばかりに耳に飛び込んできます。「登り道」ではステージの向かって右側の扉が開き、力強い狩りの角笛を表す金管(見えないのですが、12本のホルンにトロンボーン、トランペット各2本の計16本)がステージ裏から鳴り響いてきます。「森に入る」「小川に沿って歩く」では弦の艶やかな響きがまさに絶品でした。マスタープレイヤーズのメンバーが加わわった結果、これほど名古屋フィルの弦の美しさが倍加するとは‥思いもよらないことでした。弦楽器だけでなく、木管、金管からもまさにウィーン・フィル張り?の音色が聴こえてくるのです。コンサートマスター、第2ヴァイオリン、クラリネット、トランペットがウィーン・フィル首席、弦楽器は各パート2〜4名、管楽器はそれぞれ2名とウィーンの演奏者が中核になっているのですから、もっともなことかもしれません。
<山頂に至るまでの情景をさまざまな楽器で巧みに表現>
「滝」「幻影」での飛沫はヴァイオリン、ハープやチェレスタによって表現され、「山の牧場」では木管とカウベルにより、のどかな牛の鳴き声や牛の鈴が聴こえてきます。いつしか登山者は「道に迷い」、「氷河」に出会い、「危険な様子」がトランペット、ティンパニなどで表されます。第2部「頂上にて」「幻」ではトロンボーンが厳粛に頂上の主題を演奏し、ホルンの主題、突き抜けるようなトランペットの音にオルガンのペダル音も加わって大きなクライマックスが築かれます。金管が力強く響きわたるところでは心を高揚させずにはおきません。
<嵐と雷雨をリアリスティックに感じる>
やがて薄暗くなって「霧がたちこめ」、「日が陰り始め」、木管、弦楽器、オルガンが「エレジー」を描き出します。少しずつ不安な空気がただよい始め、第3部「雷雨と嵐」に入り、遠雷が聞こえてきます。山の鳥たちも不安そうに鳴き声をたて、ティンパニの強打から弦のピチカートにより雨が降り出します。ウインドウマシン、サンダーマシン、オルガン、ティンパニ2台と金管群が激しい雷雨と嵐をリアリスティックに描写します。そして嵐も静まり、結尾の「日没」ではテンポを落として日がゆったりと沈む様子を表し、「終結」では「英雄の生涯」のエンデイングと同様しみじみと回想し、「夜」が迫って、眠りにつくように曲は静かに終わりを告げます。飯森範親が指揮棒を降ろした後、少しの間、静寂が続き、やがて大きな拍手が巻き起こりました。アンコールに応えてJoh.シュトラウスのポルカ「雷鳴と電光」が演奏されましたが、アルプス交響曲で使用したウインドウマシンとサンダーマシンも加わり、楽しくこの演奏会は終わりました。
<印象に残る飯森範親指揮の演奏>
飯森範親はアルプス交響曲で大編成のオーケストラの持ち味を活かしダイナミックな演奏を繰り広げ楽しませてくれました。彼の指揮する演奏会を聴いたのは今回が3回目で、1回目に聴いた1994年5月、名古屋フィルとのシベリウスの交響曲第2番は心沸き立つ大変印象深い演奏でした。このアルプス交響曲も同様に決して忘れることのできない演奏になりました。
(2006.05.20 UP)
《参考にしたCD》
モーツァルト:ポストホルンセレナード
ギュンター・ヴァント指揮、北ドイツ放送交響楽団
[BMG‐RCA/74321897172]APR.8‐10,2001ハンブルクLIVE
R.シュトラウス:アルプス交響曲
クリスチャン・ティーレマン指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
[UNIVERSAL‐DG/469519‐2]LIVE
朝比奈隆指揮 オール・ジャパン・シンフォニー・オーケストラ
[PONYCANYON/PCCL00155]OCT.30‐31,1991 東京LIVE |
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