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Review
No.015 for Concert
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2006.05.22 18:45 Aichi
Arts Center Concert Hall, Nagoya |
Nagoya
Philharmonic Orchestra - Ken-ichiro Kobayashi
Taiho Group Spring
Concert No.12 |
| Ayako
Kobayashi, Pf |
| 出演: |
小林研一郎指揮 名古屋フィルハーモニー交響楽団 |
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小林亜矢乃 (ピアノ) |
| 演奏会場: |
愛知県芸術劇場コンサートホール |
| プログラム前半: |
<モーツァルト生誕250年記念>
モーツァルト作曲 セレナード第13番ト長調「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」Kv.525より 第1楽章
モーツァルト作曲 ピアノ協奏曲第20番ニ短調Kv.466 |
| プログラム後半: |
<オーケストラの中のソリストたち>
チャイコフスキー作曲 スラブ行進曲op.31
ブラームス作曲 交響曲第3番ヘ長調op.90から 第3楽章
R.コルサコフ作曲 交響組曲「シェエラザード」op.35から 第2楽章《カレンダー王子の物語》
ラヴェル作曲 「ボレロ」 |
| アンコール曲: |
「ダニー・ボーイ」 「ボレロ」からフィナーレ部分 |
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<マンネリ化しても聴かせるコンサート>
このコンサートは地元の民間会社グループが毎年開催し、往復はがき等の応募で、1800名が無料招待されるものです。もう12回を数え、毎回、名古屋フィルと指揮者にはコバケンさんを迎え、毎回、ポピュラーな名曲・小曲でプログラムを構成しています。今回は一部の楽章だけをピックアップして聴かせるものとオーケストラの醍醐味を味あわせてくれる曲、それにモーツァルトのピアノ協奏曲を織り交ぜてのプログラミングでした。何度かこのスプリングコンサートを聴きましたが、毎度おなじみのパターンで進んで行きます。主催者である70歳を越えた社長が挨拶し、コバケンさんがピアノで主題をひきながら曲の解説をし、そしてアンコールはいつも決まって「ダニーボーイ」なのです。「ボレロ」がメインプログラムだったのは今回で2回目。しかしマンネリ化しているとはいっても、無料招待の上、いつもコバケンさんの気持ちの入った演奏によって名曲が聴けるのですから感謝しなくてはいけません。席は招待はがきと引き換えで先着順のため、今回はステージ右側3階、オーケストラを右横から眺める席になってしまいました。

<またもモーツァルトピアノ協奏曲第20番‥>
モーツァルトイヤーで、有名曲「アイネ‥」の第1楽章が最初に演奏されました。機会音楽は最近では演奏されなくなったと(レビューNo.14)に書きましたが、この曲だけは例外で、いろんなところでメロディーが流れています。ここではやや厚みのある演奏が繰り広げられました。次のピアノ協奏曲第20番は昨年10月の名古屋フィル第319回定期演奏会(レビューNo.004参照)にも取りあげられ、半年もたたないうちに同じ伴奏のオーケストラと指揮者、異なったピアニストで聴くこととなりました。ウィーン時代のモーツァルトは3年の間に14番〜25番のピアノ協奏曲を自分自身が予約演奏会で弾くために作曲しました。そのうち、この20番は初めての短調のピアノ協奏曲で、モーツァルト自身はカデンツァを残していませんが、ベートーヴェンとブラームスがカデンツァを書いています。第1楽章は冒頭から低音域の弱奏で示される不安な感じの主題にのって、ピアノが細やかな音色をちりばめてほの暗い緊張感が漂います。ロマンスと表記された第2楽章は、変ロ長調で優しい主題がピアノで表されますが、中間部は一転してト短調でピアノが息つく暇なく駆け巡ります。第3楽章は第1楽章の不安感を漂わせた後、ニ長調の明るい色調に転じ、ピアノは技巧的で厚みのある音でコーダを迎えます。座っている席からピアニストの顔が斜め左に見え、鍵盤はまったく見えないのですが、鍵盤から手を離し、ゆっくり柔らかく手を上げる仕草が、なんとも優雅で印象的でした。演奏は、ふとロマン派のピアノ協奏曲を聴いているかのような気がしました。曲が終わり大きな拍手に迎えられ、コバケンさんと抱き合ったのを見て、あれっと思いました。同じ小林姓なので、もしやと後でインターネットで調べたところ、亜矢乃さんはやはりコバケンさんの長女でした。
<打楽器の迫真の響きは実演ならでは‥>
後半は、チャイコフスキーが民族の愛国心を描いた有名な「スラブ行進曲」で始まりました。この曲は、CDでは結構出ているのですが、実演はというと、これまで聴いたかどうか、はっきり覚えていません。曲はセルビア民謡の東洋的な旋律で始まり、段々盛り上がって行きます。途中、ロシア国歌が弦楽器で強奏され、金管により高らかに歌いあげられ、ティンパニに導かれたクラリネットの軽快な旋律が、金管により徐々に力強さを加えながら、クライマックスを迎えます。大序曲「1812年」のような叙情的な部分はなく、10分足らずの短い曲ながら、見事なオーケストレーションで一気に聴かせます。コバケンさんの気持ちの込もった指揮の下、金管は輝かしい音を出し、何よりもシンバルを始めとした打楽器の迫真の響きが実演ならではのもので、気持ちが自ずと高揚しました。
<楽器の移行がよく分かる楽章を聴く>
ブラームスの交響曲第3番の第3楽章がピックアップされ、楽器の移り変わりの説明をコバケンさんから聞いた後、その楽器を注視していますと、哀愁を帯びたメロディーがチェロに始まり、ヴァイオリン、フルート、ホルン、オーボエ、再びヴァイオリンへと移って行くのがよくわかります。R.コルサコフの「シェエラザード」の第2楽章も同じで、シェエラザードのモチーフがヴァイオリン独奏に始まり、ファゴット、オーボエ、ヴァイオリン、木管、ホルンと移って行くのを目で追いながら聴くことができました。中間部はクラリネットやファゴットの独奏に金管、打楽器が入り乱れ、弦楽器の濃厚な味つけにより展開して行きます。ハープが大変魅力的に奏でられ、コーダは楽器が徐々に加わって、大きな盛り上がりをみせます。オリエンタルムード満点の大好きな楽章がじっくり楽しめました。
<シャイヨー宮の想い出と「愛と哀しみのボレロ」>
「ボレロ」で想い出すのは「愛と哀しみのボレロ」という1981年に制作された仏映画です。第二次大戦で苦難に苛まれた仏独露米の人々とその子供たちがパリで慈善公演を行うに至るまでのエピソードが繋がって物語となっています。そのエンディングがパリのエッフェル塔を望むシャイヨー宮の広場でジョルジュ・ドンにより踊られる「ボレロ」で、その踊りは当時、一世を風靡したもので、CDジャケットにも使われています。そしてちょうどその年に私はパリに行き、シャイヨー宮近くのフランス人の友達のアパートで、家族同様に接してもらい、25年経った今でも、ボレロのメロディーを聴く度にあの時の景色と想い出が蘇ってきます。
<実演で見て聴く「ボレロ」>
「ボレロ」は1928年、ラヴェルが前衛的な女性舞踏家の依頼を受け、スペインのある町の小さな酒場を舞台にして書いたバレエ音楽で、パリオペラ座において初演されました。しかし、現在では不朽の名曲として、フランス音楽のメインプログラムとして取り上げられています。そして、現在、管弦楽曲の中ではもっとも人気がある曲(「音楽の友」誌
2006年7月号アンケートの結果)となっています。全曲を通して169回反復されるタンブールのリズム主題に乗って、スペイン・アラブ風の主題とそれに応答する副主題が、19回反復されるというだけの単純な構成となっています。ピアニシモでの小太鼓とヴィオラとチェロのピチカートに乗って、旋律主題がまずフルートによって吹かれ、クラリネット、ファゴット、小クラリネット、オーボエ・ダモーレ、弱音器付きトランペット、テノールサクソフォーン、ソプラノサクソフォーンへとソロ楽器が次々に移って行きます。次にピッコロ+ホルン+チェレスタが醸し出すなんとも形容しがたい独特の音色が聞こえて来てからは、各楽器が組合わせを変えながら、響きは厚みを増して行きます。金管や弦楽器が加わって、最後はほとんど全合奏となり、頂点に達したところで転調し、なだれ込むように曲を閉じます。舞台右横から聴いた「ボレロ」ですが、管楽器、打楽器の様子が手にとるようにわかり、たいへん面白く聴きました。ソプラノサクソフォーンの抑揚を大きく取った演奏はCDでは聴かれない異色のものでした。また、コーダでドラを全身で叩いている打楽器奏者の様子が鮮明に目に焼き付いています。さらに指揮者のすぐ間近で、曲の最初から最後まで169回も同じリズムを叩き続ける小太鼓奏者は、大変だろうなと思ったりしました。アンコールにはお決まりの「ダニーボーイ」が弦楽器で演奏された後、もう1曲「ボレロ」のコーダ部分が繰り返されましたが、打楽器奏者の再度のお勤めご苦労様でございました。(2006.06.27
UP)

【参考にしたCD】
☆モーツァルト: ピアノ協奏曲第20番ニ短調Kv.466
アルフレッド・ブレンデル(ピアノ)
サー・チャールズ・マッケラス指揮 スコットランド室内管弦楽団
[Universal/Philips PHCP‐1175]
☆チャイコフスキー: スラブ行進曲
レナード・バーンスタイン指揮 イスラエルフィルハーモニー管弦楽団
[Polydor/DG 429366‐2]
☆ラヴェル: 「ボレロ」
アンドレ・クリュイタンス指揮 パリ音楽院管弦楽団
[TOSHIBA/EMI CE20‐5419・20]
シャルル・ミュンシュ指揮 パリ管弦楽団
[英国EMI CMS7699572]
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